弊社ではステッカーは屋外用途と定義していますが、ステッカー印刷において印刷面を保護するラミネートが重要になってきます。シルク印刷でもフルカラーステッカーでもインクが載った印刷面は多少のことでは引っ掻いても大丈夫ですが、あまりゴシゴシと引っ掻くと印刷した部分がはがれてしまうこともあります。そのようなことで印刷面を保護する必要があります。また屋外で使うということは紫外線や雨、風等にさらされるという過酷な条件となります。特に太陽光の紫外線は印刷したインクを褪色させていきます。インクはそれ自体が紫外線に対して褪色にしにくい性質がありますが、少しでも長持ちさせるためにはラミネート加工が必須となります。ラミネートとは素材の上に素材を貼り合わせることで、印刷したステッカー素材の上に透明のフィルムを重ね合わせていく作業です。
このラミネートフィルムにも種類が多数ありまして、PVC(塩ビ:ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、アクリル、PP(ポリプロピレン)が主になります。このうち屋外に適しているのはPVC、PETになります。最近ではアクリルもUV加工が施されているものがあるようですね。塩ビのラミネートフィルムとPETのフィルムはそれぞれ長所と短所があります。弊社ではステッカーの制作を始めて数年は塩ビのラミネートを施工していました。塩ビの特性としては三次曲面(分かりやすくいいますと球体のような複雑な曲面です。)でも追従しやすい(シワにならずに貼れるということです。)ということです。
ただし、ツヤ感や透明感はあまり良くなく光にかざしてもツヤツヤした感じがなくて、印刷面が薄い色だと少しくすんで見えてしまいます。塩ビの素材自体が透明ではなくどちらかというと黄色っぽい色になっています。透明感を求めるとPET素材になってきますので、数年後にはラミネートをPETの素材に変更させていただきました。いくつかの親しいお客様へラミネートフィルム変更前に塩ビの2種類のラミネートをお送りさせていただいて判断いただきましたところ、すべてのお客様がPETの方がいいということでした。一般のお客様は、ステッカーは光沢がある方がいい、分厚い方がいいといったようなイメージを持っておられるようです。たまに親しいお客様にこのようなアンケートというかご意見を伺っているのですが、私たち考えていたことと違った反応があることに驚きと同時にたいへんありがたいという思いです。
PETの特性として先ほど申し上げた通り透明感とツヤ感があるということで、逆に三次曲面には追従しにくいということです。弊社で扱っているステッカーは比較的小さいサイズになり、三次局面でも問題ないくらいの面積であることからPET素材を使用しています。もともとステッカーのベース素材もPETを使っていますので、三次局面に貼るというお客様の場合はこれらの特性をお話しさせていただくこともあります。
上の写真はPETのラミネートになります。写真では違いというものが伝わりにくいと思いますが、かなりクリアな質感です。ラミネートの光沢や透明感でお客様が知覚する品質が変わってきますので、結構高級なラミネートフィルムの使っています。このフィルムはまず一般のステッカー屋さんでは手に入りません。弊社はシール印刷も行っていますので、粘着材に関する多くの素材が一次問屋さんから手に入れることができます。一般のステッカー屋さんではこれらの問屋さんとの口座がないので手に入れることは難しいかと思います。実は弊社も長年の取引の中で現在の問屋さんを紹介してもらったのですが、やはり長年コツコツとやっていたからこそかと思います。
ラミネートフィルムは印刷面に貼って上から見て、どの程度印刷した画像等が鮮明にしかも歪みがない状態で見ることができるかの度合があるのですが、塩ビ等の一般的なラミネートが60%程度と低いのですが、弊社が採用しているラミネートフィルムは95%と違いが歴然としています。お客様へ納品すると「今まで作っていたステッカーより光沢がきれい」「ラミネートの透明感が違う」といったご意見をいただいています。長年かけて素材等を見直ししながら少しでも良い製品を作っていこうと努力してきまして、これからももっと良いステッカーにならないかという思いで改良を重ねています。