ステッカーのお見積り依頼で気にされることが多いのがステッカーの厚みなんですね。お見積り依頼時に「薄いとダサいから厚いものを希望します。」というようにおっしゃられる事があります。カッティングステッカーにしても厚みがあってしっかりしたシートでというような感じです。これはステッカー制作事業者とお客様の考え方に隔たりがあるなと常々思っていました。ベースのシートを厚いものにするとか、ラミネートを厚いものにするとか、ステッカーの厚みを単純に厚くすることは可能ですがこのことによってかえってお客様の不便を増すことになり、しいてはクレームのもとになってしまいます。弊社ではこのことについて色々考えてはいますが、ステッカーを含む粘着剤のメーカーの動きとしては薄くて扱いやすい素材を作り出していく方向になっています。一般のお客様と違って看板などを製作する業者様では薄くて貼りやすいものが欲しいというニーズが関係しているのかもしれません。
カッティングシートのメーカー自体はシート素材の厚さをどんどん薄くしていく傾向にありますし、薄い方が三次局面でも貼りやすくなりますのでお客様にとっても作業が楽になります。10年くらい前は素材も厚みがあるものが結構出回っていてそれなりに安かったのですが、安い分シートが扱いづらく、特にカス取りと呼ばれる作業がやりにくくて大変でした。カス取りとはシートをカットした後にシートの不要な部分を取り除く作業です。一時弊社でも取り扱っていましたが作業効率が悪すぎたため扱いを中止しました。(その分ハイグレードシートの単価を安くさせていただきました。)
フルカラーステッカーですとステッカー製作会社様によってからりバラつきがあるようで、溶剤系のインクジェットプリンタを使用しているところでは、ベース素材で80ミクロン程度、ラミネートで60~100ミクロンといった、かなり厚めのステッカーになっているようです。これは溶剤系インクジェットプリンタの特性としてベースの素材の表面を溶かして印刷いますので厚みが必要なことや、ラミネートの素材が塩ビでUVカットの加工も必要なため厚さが出てしまうことなどがあります。弊社独自の仕様であるトナーインクタイプのフルカラーステッカーだと溶剤系のステッカーの約半分の厚みです。
このトナーインクタイプと溶剤系インクタイプの両方で同じ大きさ、同じデザインのステッカーを作って、何人かのお客様に見せたところ、大部分の方が溶剤系のステッカーがいいと仰っていました。やはり、ステッカーでは厚みがある方がいいのかと思いまして、上記のように薄い方が実は素材の性能がいいのだとご説明しました。皆様が今後は薄い素材のステッカーを選ぶようにするとご納得していました。
弊社では、シルク印刷、フルカラーステッカーなどのステッカー印刷については50ミクロン~75ミクロン程度のベース素材を用いています。また、ラミネートフィルムについては16ミクロン~25ミクロン程度の素材を使用しています。それぞれの印刷方式で適切な厚みの素材が必要と考えています。カッティングシートにつきましては白シート、黒シート、一般色、メタリックカラーについては80ミクロン程度の厚さのものを使用しています。最終的には好みの問題になるかと思いますが、このようなお話もご参考にしていただければと思います。